ここでは私が最近買った携帯電話「どこもデジタルムーバ(F671is)」について、どうしてこれを買ったのかといういきさつから簡単なレポート、そして音声による使用法までご紹介します。
目次
1.始めに
2.レポート
3.音声によるデモンストレーション
4.ちょっとしたテクニック
5.終わりに
始めに
ここのところ私の好きな出会い系サイトをみていますと、どうもやっぱりメールというと「携帯メール」が主なようで、せっかく友達ができても、携帯メールができない私なんかは、すぐにメールをやめられてしまうと言うことを、「視覚障害者出会い系サイト探検物語」の中で以前から書いていました。
まあ視覚障害者でも、何とか気合いで携帯メールをやっている人はいたのですが、どうも携帯電話の音声ガイドが不十分なため、正確なメールを打つには相当熟練しないといけないと聞いていたので、面倒くさがり屋の私は今までどうしても気合いでメールをやる気にはなれませんでした。
これら気合いで携帯メールをやっている人は、富士通のラクラクフォンという携帯電話を使っているのですが、その携帯電話の新しいバージョンが9月6日に発売されたのです。 ちょうどその日、私が3年間愛用してきた携帯電話「P206」が壊れてしまいました。そこでどうせ機種交換をするなら少しでも音声の出る者がいいと思い、子の新しいバージョン「ラクラクフォンIIS(F671is)」を購入することにしたというわけです。
まあ実はちょっと前から前の携帯電話の調子は思わしくなかったのですが、こいつが出るというので少しだけ待ち伏せしていたかもしれないですね。
私は筑波のドコモショップで買ってきましたが、確か24000円程度したような気がします。どうもこれを買った他の人に聞いてみると、この値段はかなり高かったようです。
ところで、この携帯電話、音声機能のほかにもっと嬉しいことがあります。それは点字とカセットテープのマニュアルがあると言うことです。以前私が使っていたP207にも、点字とカセットのマニュアルがあったので、これにもあるだろうと思ってドコモのお姉さんに聞いてみると、なんと驚いたことに、いきなり奥の方に消えていったかと思うと、マニュアルセットの箱を持ってきてくれました。こんな田舎のドコモショップにも点字とカセットテープのマニュアルセットが置いてあったのでちょっとびっくりしています。
使用レポート
まず、私はそんなわけで、昔のラクラクフォンIIがどんな感じだったか知りませんので、前のバージョンとの比較はできません。
ですから、この文章の中で書いている前のバージョンとのちょっとした比較は、友人の持っていた者を借りて研究した話です。従って間違いなど多分にあると思いますが、その点ご了承ください。
まずこの携帯電話は以前の者と違い、折りたたみ式になっています。
アンテナの着いている面を自分の方に向け、アンテナが上を向くように持ちますと、本体の中央に小さなディスプレーがあります。これは背面ディスプレーと呼ばれる者で、ここには電話の状態や着信のありなしなどの簡単な情報が出てくるらしいですが、見えないので分かりません。
次に今度は電話機を開き、アンテナの或方を上にして持ちます。
すると電話機の上半分のほとんどがカラー液晶ディスプレーになっています。その下に3つほど丸いボタンが付いています。
このボタンはワンタッチダイヤルボタンといって、左から「ワンタッチ1」、「ワンタッチ2」、「ワンタッチ3」と番号がついています。あらかじめこれらのボタンに対して電話番号を登録しておくと、このボタンを押した後にONボタンを押すだけで簡単に特定の人に電話をかけることができます。
次に下半分の説明をします。
なお、()の中に書いてある語句は、そのボタンの別の利用法です。
一番上の列には、
メニューボタン、上矢印(メール)ボタン、電話帳ボタン
の3つがあります。
上から2番目の列には、
左カーソル(伝言メモ)ボタン、決定ボタン、右カーソル(リダイヤル)ボタン
と並んでいます。
その下の列は、
ON(通話開始)ボタン、下矢印ボタン、OFF(通話を着る)ボタン
と並んでいます。ちなみに今回の者からは待ち受け状態でONボタンを押すことで、ぷーーーという発信音が聞こえますので、圏内か圏外か野確認を行うことができるようになりました。
下矢印ボタンの下には、横長の形をしたクリアボタンが配置されています。
その下には通常の電話と同じ数字ボタンが並んでいます。ちなみに、ONボタンと数字の1、OFFボタンと数字の3の間には少しの隙間があります。
数字の5のところには、小さなぽっちがついています。
数字ボタンのうち、シャープボタンを長押しすると、マナーモードになります。
この状態で下半分の右側面にふれてみると、縦長のボタンが付いています。これが音声ボタンで、このボタンを押すことで、待ち受け画面では日付や時刻、着信のありなし、新着メールのありなしなどを音声発生してくれます。
メニューの選択は、メニューボタンを押した後上下カーソルで選択し、真ん中にある決定ボタンを押します。このとき或程度のところまでは音声が出ます。
音声はスクリーンリーダーのOutSpokenや、活字読み取りソフトのヨメールなどで使われている富士通の音声エンジンです。
音声は、男性・女性の2種類から選択することができ、スピードは5段階で調整することができます。
音声によるデモンストレーション
さて、こんな携帯電話を買ってしまったTomGです。以前からやってみたかった携帯メールがやりたい者です。しかし、点字のマニュアルをみても、カセットテープを聴いても「詳しくは墨字の取り扱い説明書をご覧ください」ととか書いてあります。
せっかくのカセットと点字のマニュアルなのに、一番やりたいことが書いてありません。それに、電話帳への登録の仕方も書いてありません。はっきり言ってこれでは困ってしまいました。
そこで早速この前東京に行ったついでに、私の日記でよく登場する新井君を捕まえて視力をお借りして研究してきましたので、その方法を皆さんにもお伝えしたいと思います。
もちろん文章を書くのが大嫌いなTomG君です、この下からは音声でのデモンストレーションとさせて頂きます。
お聞きになりたい方は、ここをクリックしてください。
なお、これを再生するためには、リアルプレイヤーが必要となります。
ちょっとしたテクニック
テクニックその1
この携帯電話、音声デモンストレーションでも申し上げましたが、メニューの一部を読んでくれないため、いざちょっと奥の方の設定を変更しようとすると、晴眼者の助けが必要だと思っていました。
しかし、メニュー構成さえわかってしまえば、その後は感で何とかなります。
この音声の出ない部分のメニュー構成を音声で確認する方法を発見いたしました。
以下のようにすると、メニュー構成を確認できます。
1.メニューボタンを押して上下キーで「音量の調節や読み上げの設定など、お好みの設定が出来ます」と聞こえるメニューを選んで、決定ボタンを押します。
2.上下キーで「音声で呼び出すメニューを登録します」というのを選んで決定ボタンを押します。「新しく登録します」と言う音声が聞こえますので、そこでまた決定ボタンを押します。
3.するとメインメニューと同じ画面になりますので、上下キーでメニューを選んで、決定ボタンでサブメニューに入っていきます。すると何ともおかしいことに、待ち受け画面からメニューボタンを押して入ったときには読み上げられなかった項目(たとえば「詳細な設定」の中身など)もここで奈良読み上げます。
このようにしてメニュー構成を確認し、メインメニューからの行き方を頭の中にたたき込んでおくことで、何とか設定を自力で確認することが出来ます。
なお、上記3.の手順でメニューを選択し、決定ボタンを押しますと、音声で呼び出す単語を登録できます。
階層の深いところにあるメニューなどは、わざわざそこまでの行き方を覚えるよりも、ここで単語を登録して音声で呼び出した方が便利ですね。
音声でメニューを呼び出すためには、メニューボタンを長めに押した後、音声案内に従って決定ボタンを押し、発信音の後に登録した単語をしぇべります。
テクニックその2
この携帯電話、電話帳の登録やメールの作成など、文字入力の部分の音声化が全くできていません。
これで困るのは、晴眼者のメール友達ができてやっと携帯メールを始めたのに、漢字変換をかなりの勢いで間違ってしまうことで、その人に自分が視覚障害者ではないかと悟られる可能性があるということです。
これではせっかく始めた携帯メールも、単なるつなぎにしか鳴りません。
もう一つこの電話機で困るのは、登録積みの電話帳の名前は確認できても、電話番号の確認がとれないと言うことです。
具体的に私がよくあるパターンとして、家の方に電話がかかってきて
「あのさぁ、○○の電話番号いくつだったっけ」
というのがあります。こういうときこの電話機では大変困ってしまいます。
そこでちょっとパソコンの力をお借りして、携帯電話のメモリの中身をのぞいたり、編集する方法があることを発見しました。
しかもこのソフト、音声対応に寛容である、ビレッジセンターの製品だったりします。
携帯リンクという名前のソフトで、最近なんだか視覚障害者の間でちょっとした話題を呼んでいます。
私は持っていないのでここでは詳しい説明はできないのですが、後輩のニケ君のサイトの「コンピュータスクエア」に、音声での携帯リンク使用法の詳しい説明がアップされていますので、興味のある方は是非ご覧になってみてください。
終わりに
I-Modeが発売された当時は、私たち視覚障害者にとっては携帯メールは全く無縁の者でした。しかし、去年、ラクラクフォンの最初のバージョンが発売されてから、私たちにもI-Modeはどんどん近づいてきています。
今回のバージョンからは、前のバージョンでは不可能だった作成中のメール内容の確認ができるようになりました。
次のバージョンでは漢字変換と文字入力、そして今のバージョンでは音声化が不十分なメニュー内容の読み上げなどが充実してくれるといいなあと思っています。
しかし今まであこがれていた携帯メールが今はできるようになりました。これだけでも私は嬉しく思っています。そして、この携帯メールをきっかけにして、もっと多くの人と知り合いになれればいいと思っています。