音声で点字エディタBASEの環境設定
0.はじめに
みなさんはDOSで点字文書を作成するのに、どんな点訳ソフトを使っていますか?
おそらくフリーソフトのベースを使っている人や、ニュー・ぶれいる・システムのぶれいるスターを使っている人など、様々でしょう。
今回は、その中でも晴眼者の間でもっとも多く使われているフリーソフト「ベース」を、視覚障害者が便利に使うための方法の一つとして、環境設定を音声で聞き易くする方法をご紹介いたします。
1.二つの異なる環境
ベースを使っている方ならご存じのこととは思いますが、音声でベースを利用する方法には、大きく分けて二つの方法があります。
一つ眼は、ベース自身が持っている、音声出力機能を使用する方法、もう一つは、ベース自身がサポートしている音声出力は使用せず、VDMをベース対応モードにして、音声出力をVDMにまかせる方法です。
どの方法が良いかは好みによって違うと思いますが、私はベースのサポートしている音声を使用しています。
しかし、この場合、ファイル名の入力時の音声が出ないこと・ファイル名の入力画面で[エスケープ]を押して、「環境設定をしますかYN」の音声に[y]で答えると、音声が出ない状態となってしまいます。
ファイル名の入力は、なれてしまえばなんてことはないのですが、環境設定の音声が出ないのはお手上げです。
2.環境設定プログラム起動の仕組み
このように、音声が出ないベースの環境設定プログラムBENV.EXEですが、なぜ、このときに音声が出ないのでしょうか?
これは簡単です。
ベース自信の音声出力機能を使用している方のほとんどが、以下のようなバッチファイルによって、ベースの動作中のVDMの音声を停止状態にしているためです(バッチファイルとは何かが分からない人は、ここをクリックしてください)。
〈バッチファイル記述例〉
@ECHO OFF
CLS
VDCTRL SW1OFF
CD \BASE
BASE98.EXE
CD \
VDCTRL SW1ON
これでは、BENV.EXEが音声出力をサポートしていないのですから、無理もありません。
さて、この環境設定画面がBENV.EXEに夜ものだとすれば、ベースは°のようにしてこのBENV.EXEを起動しているのでしょうか?
実は、ベースは、「環境設定をしますかYN」の質問に対して、[Y]の入力があると、BENV.EXEを子プロセスとして呼び出し、環境設定ファイルの作成を行います。
3.ベースをごまかそう
上で述べたことから、環境設定プログラム動作中のVDMの音声出力再会ができれば、この問題は解決します。
そこで、ベースの環境設定プログラムの起動前に、バッチファイルによってVDMの音声出力を再会する事で、音声によるBENV.EXEの操作が可能になることが分かります。
これを実現するために思いつく方法としては、BENV.EXEを何か別の名前に変更して、その代わりにBENV.BATというバッチファイルを作成して、それをベースの実行ファイルBASE98.EXEと同じディレクトリにおいておく方法が考えられます。
しかし、これでは「環境設定プログラムが見つかりません」とベースに起こられてしまいます。やっぱり、ベースは拡張子まで見ているんですね(^_^;)こうなったら維持でもこのBASE98.EXEをごまかすしかありません。
そこで登場するのは、結構古くからある「BATCP.COM」と言うフリーソフトです。これはこちらのページでも詳しく説明していますが、バッチファイルをEXEとかCOMの実行形式に変換する便利なツールです。
お持ちでない方は、ベクターのソフトライブラリからダウンロードしてください。
これを用いて、あらかじめ作成しておいたBENV.BATをBENV.EXEに変換するわけです。
さて、準備はO.K.と言いたいところなんですが、これではまだ不十分です。
実は、このBENV.EXEを音声で利用するには、少々VDMの読み上げ設定を変更する必要があります。
BENV.DOCには、「音声でご使用の場合は、音声かソフトの常時読み上げを停止してください」と書かれていますので、これをVDMで行います。
これには、 VDCTRL SW20OFF と指定します。
それから、上下のカーソルで項目を移動したときには、その項目名を音声で確認したいですね。このためにVDMのリバース読み機能を有効にします。
これは、 VDCTRL SW5ON で行います。
もう一つとしては、この状態では、画面上部に表示されるメッセージを読み上げてくれません。
これらの設定も記述しておきましょう。
具体的には、以下のようになります。
〈ごまかしバッチファイル記述例〉
@echo off
b:\vdm\vdctrl sw1on
b:\vdm\vdctrl sw20off
b:\vdm\vdctrl sw5on
b:\vdm\vdctrl rlm3
b:\vdm\vdctrl wi0x0y23l79
b:\base\baseenv.exe
b:\vdm\vdctrl sw5off
b:\vdm\vdctrl sw20on
b:\vdm\vdctrl rlm6
b:\vdm\vdctrl wi0l0
作成が終わったら、BATCPを用いて、これをBENV.EXEに変換します。
以下のように入力して下さい。
BATCP.COM -ENX BENV.BAT リターンキー
変換が終わったら、現在のBENV.EXEをBASEENV.EXEにリネームして、できたばかりの偽物BENV.EXEをBASE98.EXEと同じディレクトリにコピーします。
いかがですか?思ったよりも快適に音声で使用できます。これならベースの環境設定ファイルをめんどうな思いをしてああでもない・こうでもないと書き換えなくても、プログラムがやってくれます。
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