盲学校の恋愛話


この文書をお読みになる前に


 以下の文章の内容は、私が卒業した某県立盲学校での話であり、他の盲学校ではどんな状況であるかは皆目見当がつかない部分が多い。
そこで、お読みになる皆様は、「TomGの卒業した盲学校の高等部ってこんな感じだったんだ」程度に思って頂きたい。
なお、この文書は、2002年9月4日付でお友達専用ページに掲載したものを、雑文コーナーに掲載するものである。

本文


 盲学校というのは少人数である上に、みんなが視覚障害を持っているという、ある意味非常に特殊な環境である。
そのためだろうか、特に地方の盲学校では、この特徴が顕著に表れる。
 特に校内恋愛についてはこれがすごい。最初にお断りしておかなければならないのは、この話は私が卒業した某県内の田舎に位置する盲学校での話の一つである。
だからほかの学校ではそうとは限らない。
 盲学校の中は学校内はオープンな雰囲気だ。
だから誰かが誰かを好きになると、本人が友達にそれを打ち明けた瞬間から、その情報は一瞬にして全校内に広まってしまう。
全校内というのはちょっと大げさかもしれないが、全部内に広まるのは確実である。するとそれを知った人たちは、奇妙な行動を取り始める。
まず何気なく相手の気持ちをみんなで伺っている。そして寮思いであるとわかった時点で、なるべくその人たちが一緒にいられる時間を作ってあげるようにする。
特に弱視と全盲のカップルの場合には、相手の弱視が目の届く範囲にいると、ほかの弱視は当の全盲性との手引きをしなくなる。そして、当の弱視生徒の先輩は
「おいおまえ、○○を連れて行って」
と言ってくれる。すると後輩の方は、先輩の命令なのだからと言う名目で堂々と相手の全盲生徒のことを連れて行ってあげることが出来る。

 さてこの現象は、生徒どうしだけで発生するものではない。生徒の中でカップルが誕生すると、その情報は生徒にすかれている数名の先生の中から一気に職員室内に広まっていく。
そうなると先生たちも、そのカップルを手厚く見守ってくださる。つまり、上で弱視の人の先輩のやっていたようなお声崖を先生からもしてもらえる。カップルのうち全盲の方が迷っていて、近くに弱視の方の相手がいる場合に、先生は
「こら、全盲ほおっておいて何やってんだ!ちゃんとつれ照ってやれ!」
と笑いながら言う。言われたのだからしょうがないなあと言う又理由をつけて一緒にいられるようになるわけだ。

 この現象、どうも深甚には理解しにくいらしい。特に新人の先生にはなかなかわかりにくいらしく、先生が二人で行う授業などで、新しい方の先生が組み分けをするのだが、古い先生はこの途中で
「こいつはこっち」とか言って、二人を同じグループに入れてしまうほどのすごさである。
 スクールバスの席もそうだ。いくら自分が先に乗車したからと言って、相手のいる女の子とか男の子の隣の席が空いていても決してそこニ座ってはいけない。
そこは相手の人の指定席なのだ。しかし、相手の人が休みの時には、同性に限り相手の人の乗車する場所をすぎてから隣に座ってもかまわない。
もし何も知らない新人がそこに座ろうとすると、近くの人に「そこはやめた方が良いんだけど」と言われてしまう。もしくは誰か優しい人が「こっちにおいで」と呼んでくれる。

 さて、それでは二人の中がぎくしゃくしてしまったらどうするのか。こんな場合には、自然に友達にどちらかが愚痴をこぼすので、瞬く間にその情報は広まっていき、今度は二人が仲直りするまではその二人を引き離すような力が働く。
 たとえば全盲の方が迷っていれば、ほかの弱視の人が積極的に手引きしてくれる。弱視の人がその人の方に近づこうとすると、近くにいる先輩や先生方は
「おい、おまえ、○○を連れて行ってやれ」
とほかの全盲の人を手引きするように言われてしまうぐらいだ。
バスの席にしてもしかりで、その気管だけは指定席にわざと仲の良い友達が座ってくれるようになる。
 ここまですごいことになるので、もし仲直りしたら、バス乗り場で友達にあったときに「やつと仲直りしたよ」って宣言しないとその日も相手と会えない可能性がある。
ちなみに宣言すると、友達の方ではなぜかそいつを冷やかし始める。
今になって考えてみると、そうすることで周りにいる人にこのカップルが仲直りしたことを知らせている結果になるのだと思う。
全盲は耳が良いから、かなり遠くで冷やかしていても聞こえるから近くの弱視に「あいつら復活だって」とか伝えていくので、この噂はほぼ午前中には全部内に広まるからすごい。

 この習慣は両思いのカップルには最高の習慣なのだが、片思いともなると大変だ。片思いの場合には、時々しか一緒にいられない方向にこの不思議な力が働く。
バスの席は、できるだけ友達どうしで座り、思っている方の人は他の人に呼ばれるからそっちに行かなければならない。
好きな人の隣に座ろうとしても、その人の友達が乗っていたり、本人から「あいつと一緒に座る約束あるから」と言って断られる羽目になる。

 もう一つ、この習慣の怖いところは周りからとんでもない誤解をされてしまったときだ。実際俺は上のクラスのRさんとそういう関係だと誤解されてしまった。
その誤解の始まりが先生だったからよけいにたちが悪い。しかもこのことは、修学旅行中に発覚したとんでもない噂というニュース性までくっついてしまった。
これには本当に平行してしまった。
 そもそもこの噂の始まりが、朝方アイスの自動販売機の前を偶然二人で通りかかったときに、Rさんが
「TomG、アイス買って〜〜」とか言ったので、幼なじみの先輩だったから、軽い気持ちで買ってあげた。
そのとき運悪く、先生方の一段が通りかかった。この中にはRさんの担任のS氏も含まれており、その先生が
「あんたたち、仲が良いじゃない」
と言ったときからこの誤解は始まってしまった。
さらに運が悪かったのは、そのときの俺の手引きの担当の先生が、Rさんの副担任みたいな存在のおばさんだったからもう大変。
俺は修学旅行の後半ほぼすべての日程を彼女と過ごす結果になった。まあ幼なじみの仲良しな先輩だったからまだいいけど・・・。
っつうか俺、実は小学生の頃にRさんのことが好きだとか騒いだりしたのだが・・・。
うちの担任までも「TomG、Rが好きならば一緒にいれば」とか言い出して、カメラ係だった彼は、俺たちの2ショットをご丁寧にたくさん撮影してくれた。
しかもRさんのクラス担任は、
「ほらほら、肩でも組みなさいよ」
とか言っている有様。こうなるといくら言ってもだめだと言うことで、二人とも吹っ切れてしまって
「まあうちら幼なじみだからこの程度はいいいか」とか先輩も言い出したので、1枚だけ本当にカップルらしい写真ができあがってしまった。
しかもそれは、琵琶湖ユー乱戦のデッキで撮影した写真だったから、バックには琵琶湖が移っていて、今までどの女の子と撮った写真よりもロマンティックですばらしいやつが完成してしまった。
 修学旅行が終わってからこの写真は学校祭の写真展にでかでかと掲示され、当時の彼女Mickyに怒られたことを付け加えておく。
事情をはなすと1分でわかってくれたが、ああ、それにしてもMickyが盲学校出身の女の子でよかった。

追記


 これを書き終わった後に思い出したのだが、どうもほかの盲学校では全く逆で、カップルが誕生するとおまえらつきあう野やめろとか、先生方がじゃまをする最低なところもあるらしい。
このページを見ている人の中でそんな目にあった人がいるらしいのだ。


雑文コーナーに戻る

エッセーコーナーに戻る

トップページに戻る