私の部屋には現在CDプレイヤーもMDプレイヤーも無い。
オーディオ機器で唯一おいてあるのはテレビだけ。他はすべてパソコンでまかなっている。
しかし、これでは不便なこともある。
パソコンというのは確かに万能な機械ではあるものの、こいつをオーディオ機器代わりに活用しようとするとなかなか面倒くさい。
その反面、たとえば音楽を聴くということだけを考えた場合など、オーディオ機器よりも便利な使い方ができる。
CDやビデオなどをデータファイルにしてパソコンの中に入れておけば、いちいちCDを交換したりビデオテープを入れ替える必要が無くてとても便利だ。
しかもCDを置いておくスペースも考えなくていい。
そんなわけで3月ごろから私はひたすら自分の持っているCDや録画したテレビ番組などをファイル化し始めたのだが、調子に乗ってやりすぎた性でここのところハードディスクが足りなくなってきた。
また、去年の春に私が東京に引っ越してきてから、部屋に仲間が遊びに来ることが多くなった。
私はパソコンボランティアグループを運営しており、この部屋がある意味そのグループの事務所もかねているようなものだから、自然とたまり場になってくるわけだ。
去年まではメンバーがほとんど東京に住んでいるにもかかわらず、自分だけ筑波に住んでいるという状態で、一応その部屋も事務所ということにはなっていたのだが、東京から筑波というのはそんなに簡単にこられる距離ではなかった。
基本的に私は一人で過ごすのは好きではないため、これはうれしいことなのだが、パソコン好きが集まってくるとそれ特有の問題が発生する。
そのうちの一つがファイルの受け渡しに関する物だ。
一昔前までは対外のファイルはフロッピーディスクにコピーすることができたのだが、最近のファイルというのはちょっとしたフリーソフトでも1MBを超えるのは珍しくない。いやっ、1MBはむしろ小さいほうなのだから1.44MBのフロッピーにコピーできるファイルはごく一部に限られる。
そこで、とりあえずの解決策として、Windowsのファイル共有機能を使い、セカンドマシーンに共有フォルダを作成して、その中に受け渡したいファイルをコピーすることで対応していた。
ところが、どうせ共有フォルダなんてしばらく使わないだろうと思って電源を切ったときに限って、
「さっき置いたファイル取り出したいんだけど」
なんていわれたりする。
それで一時はセカンドマシーンの電源を常時入れっぱなしにしていたのだが、このマシーン、あまりにもうるさいのだ。
しかも電気代がかさむし、部屋は暑くなるしで、これは実用的ではない。
そんなときに何気なく見つけたのがLAN接続型のハードディスクだった。
通常のハードディスクがUSBやScsiでPCに直接接続するのに対して、これはLANケーブルを利用してネットワークに接続する形のハードディスクなのだ。
要するにこれ、外付けハードディスクという名前になってはいるものの、中身は立派なファイルサーバーなのである。
私が去年の10月に購入したものは、バッファロー(旧Melco)の「HD-H160LAN」だ。
このハードディスクは音がとても静かな上に、パソコンを利用したファイルサーバに比べて電気代もかなり安いとItmediaのレビュー記事に書かれていた。
これを選んだ理由だが、まずはじめに価格が安いこと、そして去年の10月の時点でUSB型の外付けハードディスクを接続できたことだ。
メーカーのホームページなどに写真も載っているが、視覚障害者の方のために形を説明しておくと、同じバッファローの外付けハードディスクとほとんど変わらない形をしている。
横置きにした状態では高さ4センチほどのペッ足りとした四角い箱のような形をしている。
縦置きスタンドも付属してくるので、縦横どちらでも利用できる。
前面のパネルにはスイッチがひとつ、そしてUSBポートがひとつ配置されている。
通常操作するスイッチはこのひとつだけで、これを押すことで電源が入り、逆に電源を切るときにはこのボタンを10秒以上長押しする。
後面にはUSBポートとLANポートがひとつ、そしてクロスとストレートの切り替えスイッチがついている。
この二つのUSBポートには、外付けのハードディスクを接続したり、プリンタを接続して享有することができる。
取り付けたハードディスクに本体内にある特定のフォルダを自動的にバックアップすることができる。また、取り付けたハードディスクを要領を増やすために使うこともできる。
設置作業はとても簡単で、付属のCDROMをパソコンに挿入すると、自動的に簡単セットアップが起動するので、その指示に従ってハードディスクをLANケーブルで接続して、電源を入れてと行った感じで2分もあれば基本的なところは終了する。
このセットアッププログラムでIPアドレスの割り当て、ネットワークドライブの割り当てまですべて済ませてくれるので初心者でも戸惑うことはないだろう。
その他の細かい設定は、Webブラウザを使って行うようになっている。
この設定画面は少々変な読み方をするものの、ホームページリーダーなどでもまったく問題なく操作できる。
Webブラウザを起動して、このハードディスクに割り当てられたIPアドレスを入力すると、設定画面にアクセスできる。
IPアドレスがわからない場合には、付属のリンクナビゲータをインストールして調べることもできる。
管理画面にアクセスするとIDとパスワードの入力を求められる。
IDは「root」、初期パスワードは空欄になっている。
ちなみにパスワードは自分の好きなものに変更できるが、IDの変更はできない。
ここからユーザの設定、共有フォルダの設定などを行っていく。
最初の状態ではユーザは登録されていない。また、「Share」という共有フォルダが誰でも利用可能になっている。
私はこのフォルダをそのままの状態で使い、Backupというフォルダを作成してそこには自分しかアクセスできないように設定している。
そして仲間が集まってきたときにはこのShareフォルダを利用してもらい、データのバックアップを「Backup」フォルダに取るようにしている。
このハードディスク、仲間が遊びに来たとき以外にも威力を発揮することがよくある。
私の部屋には合計4台のデスクトップパソコンがあるのだが、このパソコンに自分のユーザーIDとパスワードでログオンすれば、こいつにアクセスしてメインマシーンのバックアップデータを参照できるのだ。
メインマシーンからのバックアップデータには、ダウンロードしたソフトとかこのWebページのソース、シェアウェアのシリアルナンバーからちょっとした文書、メールデータにいたるまでさまざまなものが含まれている。
特にこれが便利なのは、サブマシーンをリカバーしたときだ。いろいろなソフトを入れなおす場合でも、ほとんどのものがここに入っているのでいちいちネットからダウンロードしたり、メインマシーンのところに行ってコピーしてきたりなどの手間が省ける。
シリアルナンバーが必要になった場合でもメインマシーンのバックアップデータのフォルダを除けばすぐに手に入る。
もっといってしまえばATOKの辞書までもここからコピーできる。
さて、こんな風にかなり便利なネットワークハードディスクだが、実はこいつにはもっとすごい可能性がある。
なんとFTPサーバ機能も実装されているのだ。
ルータの設定で、このディスクのIPアドレスに対してFTPのポートを開放してあげれば、インターネットにつながったマシーンがあればどこからでも自分のファイルにアクセスできる。
また、LANにつながっているということは、IpsecやPPTPなどを用いて外部からVPN接続した場合でも、この中身を参照できる。
このことはとても便利な反面、一歩設定を間違えれば「自分のファイルがインターネットから丸見えになる」という危険性があるので注意が必要だ。
ある日突然自分がこっそり書いていた日記が何者かによって盗まれたり、設定によっては大事なデータをすべて削除されるといったことにもなりかねない。
とはいってもこのハードディスクが便利すぎるせいで、最近私は何でもかんでもここに放り込むようになってしまった。
ということで、さらにもう1代、今度は同じバッファローのギガビットイーサネット対応のモデル、「HD-HG300LAN」を増設した。
上のHD-H160LANとの違いは、LANポートがギガビット対応になったことぐらいだが、実はこのことで少しファンの音が大きくなってしまったのが気になる。
マニュアルには、「100MBPS接続時はファンの回転数を落とす」と書いてあるのだが、ちょっと見た感じでは、100MBPS接続時は今までのHD-HLANシリーズと同じ回転数、そしてギガビット接続の時にはファンの回転数を上げているのではないだろうか。
いずれにしてもこれらネットワーク接続ハードディスクは、私の部屋に無くてはならない機器の一つである。