無線と勉強の両立


 無線を始めてから約1ヶ月ほどたったころ、俺の学校で恒例の中間試験が行われた。
 さて、その1週間後、俺はその結果を見て唖然としてしまった。
その当時俺は、家では無線ばかりやっており、寄宿舎に行けばミニFMばかりをやっているという、とんでもない状態だった。
 特に家での無線馬鹿は相当のもので、学校から帰るとかばんを下ろす前に無線機のスイッチを入れ、無線を聞きながら着替えをし、すぐに暇な友達を呼び出してしゃべりに没頭する。そして「ご飯だよ」と呼ばれるまでその場を動かない。もちろんご飯を食べ終わった後もすぐに無線機の前へ直行し、風呂に入っている少しの時間を除いて、寝るまでの間無線に没頭するのだ。
朝は朝で、起きるとすぐに無線機のスイッチを入れる。しかし、これはまだ序の口で、無線をやり終わって電源を切らずにそのまま眠ってしまい、次の日の朝に友達の呼び出しで目を覚ますという風だから、その馬鹿さ加減はおわかりいただけると思う。
そんなことだからもちろん学校の勉強なんてほとんどやっているわけがないから、試験の結果がこんな風なのは全く不思議なことではなかった。しかし、俺自身はそのことに関して全く問題を感じていなかったが、回りはそうではなかった。
俺の両親はどちらかというと勉強にあまりうるさい人ではなかったが、このときばかりはさすがに痺れを切らしたらしく、母ちゃんにむちゃくちゃ怒られてしまった。それだけで済むのなら救い様があったが、俺は寄宿舎に入っていたので、学校はもちろん、寄宿舎の担任の先生からもみっちりと説教をくらい、ミニFM禁止令が下ってしまったのだった。
しかし、俺の親父は頭がよかった。俺がこんな状態だと、俺から無線を取り上げてしまうというのが普通の親の考え方だが、そのとき親父は、俺から無線を取り上げることはせず、
「寄宿舎でFM禁止令が出たんだから、向こうでだけはしっかり勉強しろよ!!もしこの次の試験で成績が悪かったら、そのときは○○だからな!!」
とだけ告げたのだった。
そんなわけで幸いなことに、俺は寄宿舎では仕方なく勉強させられるハメになったが、家に帰ってきてからは、それまでどおりの無線馬鹿を続けることができたのである。
 ちなみに、次の期末試験の結果はというと、ミニFMを我慢して一生懸命に勉強しただけあって、そこそこなものだったので、ミニFM禁止令は程なく解除され、またいつもの楽しい日々を取り戻すことができた。
 さて、上で俺は、当時試験の成績が下がったことに対して、問題とは感じていなかったと書いた。それには大きな理由があるのだ。
俺の通っていた盲学校では、クラス順位というものが公表されておらず、偏差値も公表されていなかった。
そのおかげで俺は、中学生時代はそんなことを気にすることなく、思い切り無線に励むことができたのだった。
俺は今でもそうだが、学校の勉強ができることが決していいことだとは思わない。そして、試験の成績がいいことも決していいことだとは思わない。事実子供を勉強に駆り立て、その結果遊ぶことを知らない子供たちが増えた結果が、今の無秩序な社会を生み出しているのではないだろうか?
 それはさておき、俺がこのとき寄宿舎で必死になって勉強したのには、もう一つの理由があった。
それは友達Kさんが、一生懸命になって勉強していたので、自分もなぜか勉強しなければならないと感じたからだった。
 今まで勉強と言うものは、学校でしかしなかった俺が、試験前だけでも一応そこそこ勉強するようになったのはこのときからだった。

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