3.70学生集団の始まり


 それは、いつものように俺が友達Kさんと話しているときのことだった。
 俺たちはこの時期、もっと仲間を増やそうと、メインでCQを出すときに、
「CQ CQ CQ CQ 学生の方」
という風にCQを出して仲間を探し初めていた。
 その日も二人で話していて、いよいよねたが尽きてきたので、仲間探しをやろうということになり、早速「CQ学生の方」と呼びかけていた。しかし、その日はどうしたことだろう、いつもなら遠くのほうからでも一人ぐらいは応答があるはずなのに、この日はまったく誰からの応答もなかったのだ。
仕方がないのでそろそろ終わりにしようかなあと話していたそんなとき、この辺ではいつもCQを出していることで有名なおじさん(以下パチンコおじさんとします)が、いきなり俺たちの会話に入ってきた。
 アマチュア無線というのは、電話と違い、ほかの人の会話を自由に聞くことができる。だから、ほかの人の会話に入るのも、たとえその人がまったく知らない人であっても、ルールを守れば問題のないことなのだ。
俺たちはパチンコおじさんとは何回かつながったことがあったので、どうせまたひまで、誰も相手がいないから俺たちの会話に入ってきたんだと思っていた。
ところが、いきなり入ってきたパチンコおじさんは、すぐにこんなことを言い出したのだ。
「TomG君、ちょっと3.70に行ってごらん。君たちと同じ年の学生局が出てるよ。でも、向こうはアンテナが小さいみたいだから、取れたら話し掛けてやって。」
よお〜し!!これを聞いてしまったからには、早速緊急出動!!ということで、早速Oさんも呼び出して3人で、3.70に行くと、パチンコおじさんの言っていたとおり、中学生らしい男の子がCQを出していた。
そのコールサインからするに、この人は開局したばかりで、どこの集団にも所属していないことがうかがわれた。
 そこで早速彼に話しかけ、すっかり仲良くなることができた。
 彼(T君)は俺たちの予想道理、開局して二日しか立っていない。そして彼の無線機もアンテナも、非常に貧弱なものだったので、俺たちはその電波を拾うのが非常に大変だった。もちろん俺たちだって、そんなに大きなアンテナを持っているわけじゃないから、電波状態によってはつながらなくなってしまうことも考えられた。そしてこの間知り合いになった仲間「Oさん」にとっても、この問題は大きなものだった。
 そこでその日から、みんなで集まっては、いろいろとつながりのいい周波数を探し始めた。そしてついに、この最初につながった周波数「3.70」が、ほかの周波数よりも飛びぬけてつながりがいいことがわかったのだった。
 それからというもの、俺たちは、この「433.70MHz」で集まって話すようになった。
 そんな風にいつも一定の周波数で話していると、今までとは違って、同じ場所で話しているので、仲間を探すのにも苦労しなくなった。そして、以前にもましてみんなで集まって話すようになったのだった。
 すると、ほかの人たちの間でも、
「3.70はこの辺の学生局が集まって話しているところ」
というイメージができてきて、開局したばかりの学生局を見つけると、このチャンネルにつれてきてくれるやさしい大人の人も出てきたのであった。
 それに加えて、みんなが集まると、いっしょに「CQ学生の方」をやるようになり、そのおかげで今までどこの集団にも所属していなかった学生たちが、この3.70に集まるようになったのだ。
 これが「栃木学生ハムクラブ(3.70学生集団)」の始まりだった。

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