コラム「アマチュア無線のグループルール」


 前の項でアマチュア無線の世界では、ルールさえ守れば、知らない人たちの会話にでもある程度は参加することができると書いたが、実際、そういうことをする人は少ない。
だから、そんなことをする場合には、どうしても相手の人と話したかったり、その会話の内容が自分の知りたいことであるなどの、特別な理由があることが多いのだ。
 さて、相手が知っている人であっても知らない人であっても、アマチュア無線で人の会話に参加させてもらうときには、まず最初に、会話と会話の間(誰もそのチャンネルで電波を出していない隙間)を狙ってマイクを握り「ブレーク」と一言話し掛ける。
 するとここからがアマチュア無線の世界らしく、そのグループのセンター局が、
「ブレークさんどうぞ」とだけ話し掛けてくれるので、そうしたら自分のコールサインを名乗り、「こんばんは」とか「こんにちは」などと話し掛ける。

センター局の存在


 アマチュア無線をはじめとする「無線」というのは、電話とは大きく違い、その瞬間に話せるのは、マイクを握っている「その人」だけである。
しかもそんな性質にもかかわらず、無線では同時に多くの人がひとつの会話に参加することができる。
回線はひとつで、話したい人はたくさんいるという状況ができているのだ。だから、自然と多くの人が集まると、順番にマイクを握って話をすることになる。無線用語で自分の送信をやめて、相手にマイクを返すことを「マイクをまわす」といったりする。
 さて、こんな風に順番にマイクを回していたとしても、急に何かが起こったりすると、回線が混乱してしまうことがある。
 たとえばあなたと同じチャンネルで8人ものメンバーが参加して会話を楽しんでいたとする。
そしてやっとあなたのしゃべる番が回ってきた。さあ、あなたは自分の話したいことを話して、マイクを次の人に回したそのとき!!「ぷるるるるるる」なんて彼女から電話がかかってきてしまった。ああ、どうしよう・・・大好きな彼女です。いくら無線をやっているからといって、電話に出ないわけには行きませんね。だからといってそこで急に会話の中から抜けてしまったら、あなたの順番が回ってきたときに、そのチャンネルは混乱することになる。
さあ、こんなとき、あなたならどうするだろうか?
 アマチュア無線では、このように途中で会話から抜け出したい場合は、そのグループのリーダーにそのことを何らかの形で連絡すればいいことになっている。たとえば人が話している上から送信出力をあげて、
「ちょっと電話入りました」
と割り込んで知らせるという具合である。
 そうするとリーダーであるセンター局は、その次にその人のしゃべる順番が回ってきたときに、マイクを握って、
「○○さんは今電話中です。変わりに○○さんどうぞ」
と交通整理をしてくれるので、混乱を防ぐことができる。
 誰かが「ブレーク」といって会話に入ってきたときも同じようにセンター局が交通整理を行っているので、混乱することはない。
つまり、「ブレーク」の言葉が聞こえた瞬間から、次にしゃべる権利は、次の順番の人ではなく、センター局に移り、センター局は「ブレークさんどうぞ」といって相手を確認したあと、その人の順番を決めて会話の中にスムーズに加わってもらえるようにするわけだ。
もしこのようなシステムが確立されていないと、多くの人がいっせいに「ブレークさんどうぞ」と声をかけてしまい、そのチャンネルが混乱する結果になってしまう。
 このような混乱を避けるために、無線の世界には「センター局」と呼ばれる人が存在するのである。

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