にゃすこさんとの出会い


 にゃすこさんと最初につながったのは、俺が無線を初めてすぐの頃、彼がCQを出していたところに俺が応答したという、ごく普通のパターンだった。俺はそのとき、無線を初めて数日しかたっていなかったので、何を話したらいいか分からなかったから、彼との最初の更新はごく一般的なコール交換で終わったと思う。
その後自分でCQを出すようになってから、今度は彼の方からお声がけをしてくれたが、最初に彼の声を聞いたとき、確かに若そうで、コールサインも始めたばかりのものだったが、どうも老けて聞こえたので、学生ではないと思い、そのときはそんなに長話はしないで終わったのだった。<

 それから1週間ほど過ぎたある日の昼下がり、俺はいつものようにメインチャンネルを聞きながら、誰か話し相手はいないものかと待っていた。
そんなとき、俺はふとした疑問を持った。
 アマチュア無線の世界では、よく「フレンド」とか「ローカル」などという使い方をするが、そのフレンドとかローカルというのはどの程度の中になると使っていいものなのだろうかと言うことだ。
実際メインチャンネルではひっきりなしに
「フレンド各局聞いていませんか」とか、「ローカル聞いていませんか」などと言って、みんながひっきりなしに親しい友達を呼んでいた。
その呼びかけに俺も応答したかったが、俺が答えていいものか分からなくてとまどっていた。その当時その呼びかけに自信を持って答えられたのは、N三とK三だけだったが、何回か更新したことがあり、答えたいなあと思う声も聞こえてきていた。
そこで俺は勝手に「3回以上つながったらそれからはフレンド局だ」という自分独自のルールを作ることにした。

 そんなとき、ちょうどいい具合に聞き覚えのあるコールサインの人が、CQを出しているのが聞こえてきた。そこで俺はログ帳を引っ張り出して見てみると、その人は今回更新すると3回目で、ちょうど俺の決めたルールのフレンド局になる人だと分かった。
そうとなったらすぐにお声が消して、一人でも友達を増やしたかったので、俺はすぐにその人にお声崖をした。それがにゃすこさんだった。
そしてさっき決めたことを話してみると、彼は笑いながら
「確かにフレンドとかローカルって訳が分からないですよね。それではこれからフレンド局としてよろしくお願いします。」
と言ってくれた。
 その後俺たちは、フレンド局になったということで、いろいろと話をした。その中で俺が目が見えないことと、盲学校に通っていることも自然と話していた。それに、老けていると思っていたが、彼はその当時高校1年生で、高校の無線部活性化のために、ひたすら努力している人だとか、いろいろと話をすることができた。
 ちなみにここにこんなことを書くとたちまち削除依頼が来そうな気がするが、当時彼の通っていた高校の無線クラブは、無線クラブとは名ばかりの代物で、ほとんど幽霊部になってしまっていたらしく、免許を持っている人も彼しかいなかったらしい。
 これがにゃすこさんと俺とのつきあいの始まりだった。
なお、俺の住む県南のN待ちと、にゃすこさんの住む県北のN待ちでは、100kmぐらいの距離があったので、通信は難しく、本格的に彼が俺たちの集団に加わって話すようになるまでには、県北学生集団の勢力が弱まるまでの2年間ほどの空白があった。

ごく解説


ログ帳
いつどこの周波数で誰とつながったかを記録しておくノートのこと。これにはそのときの信号強度なども記録する。正式には「無線業務日誌」と言う。

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