見えてきた光


 あまりにも多い不採用通知に失望し、ある就職活動中の視覚障害大学生のサイトを見てやっと立ち直った頃、俺の元に1本の電話がかかってきた。
 それは、少し前にエントリーした某鉄道会社の情報システムを担当している会社の人事担当の方で、採用に向けて前向きに検討するに当たり、通勤のことや仕事内容について、いくつかお伺いしたいと言った内容のものだった。
このような電話がかかってきたのは初めてだったので、かなり緊張してしまったが、通勤は慣れてしまえば問題ないことや、パソコンも画面が見えなくても音声で使えることなど、一生懸命説明して電話を切った。
するとその次の日、就職担当の先生から連絡があり、その企業が、仕事上での障害補償について学校側と相談したいと連絡してきたと教えてくれた。
この話を聞いて俺は、もしかすると面接ぐらいはしてくれるかもしれないと期待した。
そして、筆記試験を行いたいが、どのようにして行えばいいかといった相談まで話が進んだのだが、何度かお電話でやりとりをさせて頂く内に、俺の希望していた職種と、企業側の募集している職種に若干の違いがあることがわかったため、残念ながら不採用になってしまった。
 それから、電話会社の情報システムを担当している企業の方からも何度か、
「通勤はどうしますか?パソコン使用はどうやって行いますか?一人暮らしと言うことですが、日常生活で困ることなどありますか?」
などというお電話をいただいたが、やはり社内での受け入れ体制が整っていないことを理由に、不採用となってしまった。
 もう一つ、就職担当の先生から、携帯電話のインストラクターを養成している企業の社内ネットワーク管理者を募集しているという話があった。
この会社の人が学校見学にくるというので、俺は視覚障害者でも何とかパソコンが使えることを知ってもらえるためのデモンストレーションを準備して、先生からの連絡を待ったのだが、こちらは先生が俺を推薦してくれようと連絡を入れたときには乗り気だったのに、その後誰か別の障害者を採用してしまったのか、会社側が学校に見学に希代と言ったところで話が保留のまま終わってしまった。
 それから、就職フォーラムでお会いしたコンサルティング会社から、論文を提出してくださいという話があり、論文提出の後、一度お電話をいただいたが、社内での受け入れ体制が整っていないことを理由に、残念ながらこちらも不採用になってしまった。

 しかし、このように結果的には不採用になってしまったが、履歴書をみて、俺が視覚障害者であることを知っていながら、採用を検討してくれる企業の方がいることを知り、少しは前向きに活動していくことが出来るようになった。
 もう一つ、前回の就職フォーラムで、一度当社に面接にきてくださいとお話があった企業から、筆記試験前のアンケート調査のメールが届き、初めての筆記試験に向けての話が進み始めていた。


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