2回目の就職フォーラム


 やっと就職活動にも調子が着いてきた5月後半、俺にとって2回目の就職フォーラムの日がやってきた。
 前にこのフォーラムに参加したときと同じように、前日に履歴書と自己PR文を用意して、エントリーしている企業のリストとこの前参加したときに回った企業のリストを持っていった。
 今回の就職フォーラムも二日間にわたって行われたので、就職活動は欠席扱いにしないという先生のお言葉に甘えて2日間とも参加した。
 1日目は、ものすごく元気で積極的過ぎる主婦の方がガイドをしてくださった。正直言って俺は、この方とバス停で初めてお会いして、東京駅から電車で会場の近くの駅まで向かっている最中、この人のあまりのおしゃべりにうんざりしてしまった。
そして、会場に着いたら何かとんでもないことになりそうだと、この時点で予感したのだった。
(ちなみにこの予感、当日は的中したものの、この人は俺の幸運の神様だったことを後で知ることになる。)
 会場について受付をすませ、この日の参加企業一覧を見てみると、前回に比べて少し少ない感じがした。特にSEの募集は少なかったので、前回行ったことの無い会社はすべて回ることにした。
その途中、俺は大学卒しか採用していない会社を合計3社も回らされる羽目になった。
これはどういうことかというと、俺はフォーラムの始まるときに、ガイドの人に、今回参加している企業の会社案内のパンフレットをすべてお渡しして、
「空いている企業から順番に回りますから、面接が終わり次第、一番すいている企業に案内してください。」
と頼んでおいたので、何というのが適切な表現だろうか、いわゆる中年層の主婦のパワー、すみません、もっとも的確に言うならば「おばさんパワー」で、募集職種と空き状況だけを見て案内してくださったのだ。
これはかなり恥ずかしかった。
特に大手の○というコンピューターメーカーに行ったときは、担当の方に、
「SEの募集枠は大学卒しかとっていないんですよ」
といやな顔で言われたあげく、その場で履歴書を返されてしまった。
それに、某コンサルティング会社に行ったときは、
「あのね、内は学卒しかとらないんだよ。ちゃんとパンフレット見てきてよ」
とか怒られる始末だった。
 しかし、短大卒の人が間違えて訪問してしまったときに、こんな態度をとる会社ばかりではなかった。
外資系の企業で、コンタクトレンズなどの販売をやっている会社のブースに座ったときは、本当は大学卒しか採用予定はないのに、そんなことは全く気にもしない様子で、真剣に俺の話を聞いてくださった。
そんなわけで俺は、この会社が大学卒の人しか採用しないと書いてあったことを、ずっと後になるまで知らなかったのである。
 こんなことだから、8社ほど回った頃には、精神的にも肉体的にも疲れてしまったので、この日は予定よりも早めに会場を出て家に帰ってきてしまった。

 さて、そんな感じで1日目が俺にとっては失敗だったので、2日目は心を入れ替えて、ちょっとやそっと出くじけないパワーをつけて家を出た。
 バス停でこの日のガイドをしてくださる方とお会いしてみると、昨日の方とは違ってものすごく静かでおっとりした人だった。
 会場についていつものように参加企業を確認すると、今回は今までで最も少ない数だった。
もちろんこの日こそ、気合いを入れてSEを募集している企業はすべて回ってくる勢いで、面接開始と同時に一番近い企業のブースに座った。
 1社目の面接を終え、次に進もうとしたのだが、何せ今回は参加している企業の数が少なかったので、今までのようにすらすらと回ることができず、時間をかけた割にはあまりたくさんの企業を回ることができなかった。
それでもしっかり話を聞いて頂くことはでき、予定していた企業はすべて回ることができたので、この日はまあまあ上出来だった。


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