障害学生就職支援センターの合同面接会


 6月17日の月曜日、俺は東京の障害学生就職支援センターの主催する、2003年春の新卒者を対象とした合同面接会に参加してきた。
 これはどうやら毎年この時期に行われているものらしく、これまで2回ほど参加した某社主催の就職フォーラムに次いで、障害者の採用実績のある面接会らしい。
 この日も少し余裕を持って出かけたので、1時面談開始のところを、12時頃には会場の東京国際フォーラムに到着した。
 入り口を入って受付をすませようとすると、出席表と登録票を出してくださいというのでびっくりしてしまった。というのは、俺はそんなことは学校側からは全く聞いていなかったからだ。
そこでしょうがないのでこの場で面倒くさい出席表を書いてから、登録票については去年の就職説明会で登録してあるとお伝えして、今回は勘弁して頂くことにした。
 それから今度は、今回の出展企業を確認するために、募集の公告の出ているブースに行くと、さすが公的機関の主催している合同面接会らしく、点字の求人票がちゃんと用意してあった。
そこで早速それを見ようと思ったのだが、あまりの寮に驚いてしまった。
なんと、企業の求人募集情報だけで点字の本にして4冊もある。
係の方が通りかかったので、この日の参加企業数を聞いてみると、200社を超えているというので、とても面談開始までにすべてを見て作戦を立てることは難しいと感じた。。
 ちょうどそのとき、俺の隣に白杖を持った女性の方が座って、係の方から会場の説明などを受けていた。そこで俺はその説明が終わるのを見計らって、その人に話しかけてみた。
同じ視覚障害者として、就職活動についての情報交換をしたかったのである。
するとやはりこのご時世、みんな状況はさほど変わらないらしく、去年の10月からずっとエントリーし続けているというのに、内定は1社ももらえていないと言うことだった。それに、筆記試験も唯一1社受けることができたが、残念ながら不合格になってしまったという。
これを聞いて、俺はやっぱり全盲の就職活動というのはみんな同じような厳しさなんだと言うことを改めて感じ、今日こそは何とかいい企業と出会わなければと気が引き締まる思いだった。

 走行している内に面談開始の時間が近づいてきたので、いつものように第1志望の企業を決めて、その企業のブースの前に言って待っていたのだが、面談開始の時間になっても肝心な担当者の方は現れなかった。
そんなわけでここは後回しにして、次に入ったのは某製薬会社のブースだった。
実はこれは隣にその会社のブースがあったから飛び込んだだけで、何の準備もしていなかったので、質問されたことに答えるのが精一杯で結構たいへんな思いをした。
しかしそんな中でも担当者の方は、俺の話を熱心に聞いてくださったので、なんだか安易な気持ちできた俺としては申し訳ない気がした。
 その後入ったのは、大手電機メーカーの子会社で、ネットワークエンジニアを募集しているという会社だった。
これは俺の得意分野なので、志望動機を聞かれても、
「大学で学んだネットワークの技術を生かし、御社の活動に少しでもお役に立てればと思い、御社を志望致しました」

とすんなり答えることができて快調な滑り出しだった。
そして、こちらの担当者の方は、
「もし入社していただいたとすると、このようなことならTomGさんにやって頂けますね」
などと、具体的な仕事内容のことまでおっしゃっていたので、もしかするとちょっと脈があるのではないかと感じたりした。
しかも気づいてみると、俺一人の話を30分も聞いて頂いてしまっていたのである。
 それからいくつか回ってみたのだが、どの会社もだいたい、表面上はものすごく親切な漢字なのだが、必要最小限の面接だけで切り上げられてしまったような感じを受けた。

 そんなわけでこの日は、終了時間よりも少し前に会場を出て家に帰ってきたのだが、そんな俺に、予想もしなかった知らせが届いていたのだった。


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