この子の目がおかしい


 私が生まれて3ヶ月ぐらいたった日のことだった。
母は何気なく、だっこしてもらって喜ぶ我が子の目をのぞき込んだ。
「いつ見てもかわいい私の子、ここに生まれてきてくれてありがとう」
そう思った。
 ところが、いつも見ているその子の笑顔に、何か不思議な感覚を覚えた。
「なんだか目がおかしな輝きをしている。」
それが母が気づいた最初の異変だった。
「ねぇ、この子の目、なんだかおかしくない?」
母はすぐに父に聞いてみたが、父は
「いつもと変わんねぇと思うけどなぁ」
と、全くその異変には気が付かなかった。祖母や祖父にも聞いてみたが、家中で母以外の誰もが普通だと言っていたそうだ。
でも、私の母は、それでもどうしても納得がいかず、私がちょっと風邪気味だったこともあって、近所の医院に私を連れて行ったのだった。
 母は結婚する前、その委員で補助看護婦として働いた経験があり、そこの先生は大概のことを相談できる医師であった。

 医師は私を一目診るなり、
「こらぁお母さんねぇ、うちでは分からないです。だけどもね、おかしい。たしかにこりゃ普通の目じゃありませんよ。眼医者にすぐに見せなきゃだめだ。」
といって、すぐに近くの眼科医院に紹介状を書いてくれたのであった。


次へ

自伝の目次に戻る

エッセーコーナーに戻る

トップページに戻る