初めての失恋


 私の幼なじみに、一つ年上のMちゃんという子がいた。
Mちゃんは私が幼稚部生の時、小学部に入学してきた。
それで私は幼稚部生の頃から彼女を知っており、合同授業の時には一緒に勉強したりバレーをやったり卓球をやったりしたし、放課後教室でトランプやオセロなど、ゲームをして遊んだこともあった。
 もちろん小学生時代は、彼女は普通のお友達で、恋愛感情は全くなかった。
ところが、中学2年生の春頃からどうも私は病に冒され始めた。
きっかけは、図書委員会の仕事が彼女と一緒になり、しかも私と彼女の二人で一つの原稿を担当することになった。
最初の頃は彼女に対する恋愛感情などは無かったのだが、ちょっとしたことで今悩んでいることについての話になったとき、彼女の見せた表情というか雰囲気というか何というか・・・そんなところに女の子を感じてしまった。
しかもその次の原稿も、なぜか彼女と二人で担当することになったため、私たちは放課後図書室の奥の録音室で二人になることが非常に多くなっていた。
また、その年は授業後の掃除場所も全く同じで、いつしか私は、毎日彼女の声を聞くのが楽しみになっていること、そして彼女の前に来るとなぜか自分の胸がどきどきすることに気が付いた。
正直に言ってしまうと、これが私の本格的な初恋だったため、私はこれがなんなのか、2週間ぐらいは分からなかった。
でも、暇さえあれば彼女は今何をしてるんだろうとか、彼女と一緒にどこか行けたら最高だなぁ、なんて考え出している自分がいることに気づき、私はそのとき、確実に彼女を好きになっていることに気が付いた。
しかし、私は従来気が弱いので、とても彼女に告白する勇気が出なかった。
彼女に今のところ好きな人がいないことは、幼なじみで彼女のクラスメイトの女の子から聞いて知っていたのだが、どうしても自分から彼女に気持ちを伝えることができないまま時は流れ、とうとう卒業式の前の日になってしまった。
私はこの日、「今日機会がなかったらこの気持ちは胸の中にしまっておこう。もう忘れてしまおう」
と決意した。
しかし、私はこのことを誰にも話したことがないのに、彼女のクラスメイト、もしくは私のクラスメイトの誰かが私の気持ちを知っていたかのように、彼女を私の教室に連れてきてしばらく話し込んだ後、みんなはいろいろと理由を付けてその教室を出て行った。
「これはチャンスだ。」
と思った私は、まず当たり障りのない話から始めて、ついに自分の気持ちを彼女に伝えることができた。
しかし結果はこのページのタイトル通り。
「大切な幼なじみで何でも話せる友達だとは思ってるけど(悲しいので以下省略)」
と言われてしまった。
それからの数ヶ月、私は悲しみの床に伏したのだった。
と言いたいところなのだが、次の年にいきなり6歳も年上の先輩と寄宿舎の部屋が一緒になったことと、嫌いな先生が担任になってしまったことで、それを考える余裕すらなかったというのがこの恋物語の締めくくりである。


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