大学時代最高の幸福と最大の後悔


 私は大学1年の夏、先輩の彼女を奪ってしまった。
中学生時代、寄宿舎の部屋が一緒だった先輩、高校時代私が困っていると、さりげなく助けてくれた先輩、私の大学進学のとき、親身になって相談に乗ってくれた先輩。
理由は何であれ、私はその先輩の彼女を奪ってしまった。
このことを考えると、いつかは先輩にちゃんと謝らなければならないと思っていた。
しかもその彼女のことだって、私は幸せにして上げることができないまま、前の年の10月に破局してしまっていた。

 それは卒業式が近づいた2月後半の午後のこと、廊下を歩いていると突然私はUに呼び止められた。
Uに振られてしまった私は、正直彼女と話すことすら苦痛だったのだが、無視するわけにも行かなかったのでとりあえず立ち止まって話を聞くことにした。
すると、
「あのね、M君がTomGとご飯食べに行きたいって。」
と言うのである。私は上のこともあって、先輩に会うのはつらかったのだが、この機械を逃してしまったら謝れないまま先輩は卒業してしまうと思った。そしてそうなったら、もしかすると一生こんな気持ちを抱えたままになってしまうとも考えた。
だから私は、すぐに先輩の待っているという教室に行った。
先輩は私の顔を見ると、
「TomG、ここではなんだから、明後日の夜飯でも食おう。お互いこんな関係じゃ賞がねぇ。おまえに一言言わないと俺も卒業できない。」
と言われた。私はすぐに、
「いろいろと吸いませんでした。こちらの方こそよろしくお願いします」
と言って、彼女がいたのでその場は離れた。
 そして2年ぶりに食事をしたその日、私たちは今までの1年間にお互いが思っていたことをぶつけ合った。
私はもう一度先輩にちゃんと謝って、先輩も、
「ここに全盲一人でいたんじゃなぁ。おまえもきつかっただろうし、Uにも寂しい思いさせてたからしょうがねぇ」
といって、一応許してもらうことはできた。
でも、1度壊れてしまった関係がすぐに戻るわけが鳴く、お互い会話がぎこちないまま、形だけの仲直りをした漢字になってしまった。
 彼女との1年は、私の大学時代の中でもっとも輝いていた時期だったし、楽しかった時期でもあった。
彼女がいたからこそ、私は2度の引っ越しにも耐えられた。
彼女がいたから一人で知らない町に歩いていける勇気をもらうことができた。
それに、彼女からはたくさんの初めてをプレゼントしてもらった。
でも、その代わり、私は大切なものを失ってしまったのも事実だ。
あのときの一言、
「先輩のことありますけど、それでもつきあってくれますか?」
これは大学時代最高の幸福の始まりであり、もっとも後悔した一言だった。


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