オーストラリア旅行体験レポート(1)


 ああ、いよいよ出発の日が来た。
6月の初め頃に、英語担当のT先生から、
「俺と一緒にオーストラリアに英語の勉強にいく奴はいねえか?」
というお誘いをいただいたことから、このオーストラリアの旅は始まったのである。
目的は英語の勉強ということだったので、まさか現地でこのような感動的な経験をすることができるなどとは、思ってもいなかった。
 今回の旅行は、現地の一般家庭にホームステイして、その文化や家庭の雰囲気などを体験しながら、近くの英語学校に通って学習するというものだった。
ホームステイはおろか、海外旅行も初めてだった俺は、
「英語だけしか通じない中で、生活していけるだろうか?」
「目が見えなくても現地で行動できるのだろうか?」
「友達はできるだろうか」・・・
など、出発するまでとても不安な気持ちでいっぱいだった。

 そんな不安な気持ちはあったが、初めての海外旅行への期待を胸に、午後8時に成田空港から「カンタスオーストラリア航空」の飛行機で、目指すオーストラリアへと飛び立った。
 その飛行機の中で偶然、同じ都市の女の子「Mickey」と席が隣になった。
実はこのツアー、視覚障害者に配慮したツアーということで、俺の他にも多くの視覚障害者が参加していた。
彼女はそんな中の一人だったのである。
 彼女は俺と同じ全盲であるにも関わらず、地元の一般の高校に通っていた。
俺はアマチュア無線を通じて一般の高校生の友達は多かったが、やはりふつうの高校に通うのは、俺にとってもあこがれていたことだった。
そんなわけで、前々から彼女の名前を聞いていたので、俺の法から声をかけ、すっかり仲良くなり、本当にいろいろな話をした。
学校のこと・晴眼者と付き合っていての悩み・恋愛のこと・ファッションのことなど、徹夜で語り明かしてしまった。
そのおかげで、初めての海外旅行への不安は一気に吹き飛んだように思う。
もし離陸のときあいつと仲良くなっていなかったら飛行機嫌いの俺はかなり震えていたかもしれないなあ・・・。
 そんなこんなで、わけのわからない話をしているうちに、シドニー国際空港に近づいてきたんだけど、そのときの機内アナウンスがとんでもないことを言い出した。

「当機はシドニー国際空港への最終着陸体制に入りました。
シドニーの時刻は午前6時30分、現地からの報告によりますと、現在の気温は7℃と言う事です」

なんだこれは!添乗員のIさんは「シドニーはそんなに寒くないですよ」と言っていたじゃないか!そしてやっぱり飛行機を降りたら寒かった。
シドニー国際空港といっても日本の空港とあまり変わった雰囲気は無かったように思う。
 入国審査を終えてゴスフォード行きのバスに乗ったのはいいが、飛行機の中でオールナイトをやったせいで眠くて眠くてしょうがない。
ガイドは現地の人と結婚した日本人だったので解説はすべて日本語だったらしいが、あまりにも眠くて何を言っていたんだかは覚えているはずも無い。
でも、オーストラリアでは朝の時間帯の電車の料金が違うといっていたような気がする。なんでもらっしゅじは高くてその後は安くなるらしい。
そんなこんなでゴスフォードについた。
 バスがつくとすでにホストファミリーが迎えに来てくれていた。
そのときのガイドの言葉はなんだか印象的だった。
「さあ皆さんホストファミリーの方がお出迎えに来てくれています。
どんな家に貰われて行くんでしょうか」
俺たちは動物じゃないぞ!
そこから車でホストファミリー宅まで行った。
車に乗ってドアがしまったとき英語のあまり得意でない俺は
「やばい、ここからは日本語が通用しないぞ!同しようかなあ・・・。」
なんて思いながら結構緊張した。
でもそんな気持ちだったのは1分ぐらいで、子どもに変なことを言われて吹き飛んだ。
「You must be bright.(君、もっと明るくなろうよ)」
なんだって!俺は日本ではこれでもかなりうるさい部類に入るんだぞ!ようし、こうなったらめちゃくちゃな英語でもいいからしゃべりまくってやる!(この一言が原因でこのツアーが終わるときにツアーコンダクターのK先生に「この子が一番楽しんでたのよ」と言われる羽目になったほどうるさくなって、人の通訳までやった)
 俺のホストファミリーはかなり良い人だった。目が見えないからといって差別するでもなかった。家もかなり良いうちでベットルームもなかなか住み心地が良い。そんなわけで家の中を一通り案内してもらった後にコーヒーを飲んだんだけど、コーヒーは日本と変わらないけど一緒に出たケーキが小麦粉の味丸出しで正直言ってまずい!でも一応美味しいと言っておいて一つしか食べなかったら、どうやら分かったらしくそれからは出なかった。ごめんなさい・・・。
 コーヒーを飲みながらこの家に付いていろいろと聞いたら正直言ってかなり変わった家だと思った。それはやたらとペットが多いからだ、犬・鶏・猫・ギニピッグ、こんな具合でざっと数えただけで4種類もいる。でも変わったところはそれだけで他は普通だったのかなあ・・・。
 この家は、両親と二人の子供の4認可族だった。パパのエルヤードさん、ままのデニスさん、それにルックとエドワードの二人のかわいい子供である。
 ダイニングルームでコーヒーを飲んだ後、12時半に他の人達と一緒にさっきバスを降りたところでピクニックのようなものをやった。アウトドア用のいすとテーブルを芝生の上へ持ち出して、そこで昼飯を食った。その日の昼飯はあまり変わった物は無かった。ポテトサラダ・フライドチキン・食パン・オレンジジュース、そんな感じだ。でもオーストラリアのパンは正直言って日本のパンより小麦粉臭くて美味しくなかった。でもフライドチキンは美味しかったし何よりもホストファミリーが楽しい日とだった。食べ終わった後ママに
「このツアーにはあなたの友達来てないの?」
と聞かれた。
「うん、誰も来てないよ」と言うのはなぜか癪に触るような気がしたから、
「うん、来てるよ」と言った。
そしたら「あなたの友達の名前は?」と聞かれたから飛行機の中で友達になったから良いやと思って「Mickey」と答えてしまった。(もちろんその後で事情を説明したけど)
すると、俺のホストファミリーがそいつのホストファミリーと中が良くて、なんだかそいつのところへ連れていかれてしまった。そして、そいつと日本語トークをしていたら
「Mickeyは君の恋人?」と聞かれてしまったので、
はっきり「違う」と答えた。でもやっぱり恋人だと思われたらしくその後ベンチで二人にされた。二人で話をしているとホストママが、「海のそばを散歩しようよ」と言ったからそいつと分かれて散歩に出かけた。俺は海はあまり好きじゃないからすぐにもとのベンチへ戻ってきたら、その後からまたあいつが来た。「なんでこんな早く帰ってきたの?」と聞くと、「トムに会いたいのって聞かれたからなんて言って良いかわかんなくてyesって答えちゃった」って言ったからまあ暇だったのでまた怪しいと思われながら二人でしばらくしゃべっていた。そしたら、英語学校の校長先生に話しかけられた。
 「みんな向こうでゲームやってるよ!簡単だから一緒にやらない?」と言われたんだけど俺もあいつも面倒くさかったから「No We do not want to do.」と答えてしまった。
 その後ホストファミリーとショッピングセンターへ行った。オーストラリアのショッピングセンターは日本とあまりにおいが変わらないし雰囲気も同じだった。ホストパパと一緒に歩いていたらいきなり
「君オレンジジュース好きだって言ってたよね。これで°お」と言って4リットルはあるかと思うようなでかいボトルを俺に差し出すではないか!!「でかすぎる!」と言おうとしたけど、とっさに言葉がでてこなくなってしまったので、「Thank you.」と言って買ってもらってしまった。本当にこの民族は大胆だ!
しかもホストパパと歩いていると彼は自分の奥さんに向かって「Mamぴーーーーーーーー」といって口笛を吹いているじゃないか・・・。何なんだこれは!この国ではこんなこと本当にするのか!
帰り道に救急車を見た。そしてこの後何度か救急車やパトカーを見たが、日本とは違って両方とも同じような音がして区別が付かなかった。
 家についてディナーの用意を手伝おおかなあと思ったけど、手伝わなくって良いって言うから部屋へ戻って休んでいた。2時間以上も休んでいたからもしかしたら忘れられてるんじゃないかと不安だったけど、ちゃんと呼びに来てくれた。その日のディナーはスパゲティーミーとソース(ビーフソース)だった。ディナーの後は家族と話してから9時には疲れたからシャワーを浴びて寝た。しかし、この民族は良く体を洗わないのだろうか?だってシャワーは5分でおわせって言うからなあ。5分じゃよく体が洗えないじゃないか!しかもシャワーはプールの更衣室に付いているような感じのやつで、はずれないし、お湯と水の蛇口は在るけど両方を一緒に止めたり出したりする蛇口が無いぞ!使いずらいぞ!それに変わっているのはシャワールームの中の暖房が赤外線らいとだった。
 そんなわけでシャワーを浴びて寝ようとしたらホストママが「洗濯物ある?」と聞いてくれたからその日の洗濯物を洗ってもらうことにして「Yes」と答えてすぐに「I am very tired of air plane and I go to bed.」と言って早めに寝た。やっぱり飛行機は疲れたらしく、その日はよく眠れた。そのせいで次の日に冷や汗をかくことになったんだけど・・・。


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