オーストラリア旅行体験レポート(8)


 オーストラリアでの生活も最後となったこの日は、午後10時に学校の前に集合になっていたので、いつもより遅くまで寝ていた。
  8時半頃に起きて下へ下りていくと、ホストママはシャワーを浴びていた。
「もしかして起きたばっかり?10時に集合なのに間に合うのかなあ?」と心配していると、ホストママがシャワーを終えて出てきて
「Good morning Tom.Are You sleep well last night?」と話しかけてきてくれた。そして、コーヒーを入れながら
「今日はいよいよ最後の日ね、朝御飯は何が食べたい?パン、それともベーコンライス」と聞いてくれた。その言葉を聞きながら
「できることならもう少しここにいたい、こんな優しい人たちに何のお礼もすることができないで日本に帰る日になってしまった」と寂しくなってしまった。そして、できることなら来年もここに来てこの人達と一所に夏休みを過ごしたいと思った。
  最後に食べたベーコンライスは今でも忘れられない優しさの味がした。
  いよいよ家を出る時間が近づき、俺がトランクを取りに2階へあがっていくと、ホストパパが荷物を運ぶのを手伝ってくれた。部屋のドアを開けて外へ出ようとすると、エディーとルックがホストママと一所に日本語の練習をしていた。俺を送り出すためだったのだ。 
「トム、本当にありがとう、また来年も来てください」 何度も何度も繰り返して練習をしてくれていた。本当に言葉が出ないほど感激して、俺は、自分の心の奥にこみ上げてくる物を我慢するのが大変だった。
  下へ降りていくと、ルックもエディーも泣いていた。ホストママが何と言っても泣くのをやめなかった。そして、車に乗るとルックが
「Thank you Tom.I will miss you and I will come to Japan October in next year.」と言ってくれた。感謝すべきは俺の方なのに、本当にここの人たちはいい人だ。俺も精いっぱいの英語で
「Thank you very much and I have learned many things to you.」(正しいかどうかは分からないけど、通じているといいなあ)と言った。
  学校の前に付くと、もう沢山の人たちが集まっていて、ほとんどが別れを惜しんで泣いていた。俺のホストママも、俺を抱きしめて泣きながら
「来年もきっとまたここに来てちょうだい。誕生日には手紙を書くから」と言ってくれた。
 その後そこに集まった人たちで、集合写真を撮った。
 そして、たくさんの優しい人々に見送られながら、お世話になったゴスフォードシティーを後にした。

 さて、その後はバスでシドニーに行き、いろいろな観光名所を見て回った。
 最初にオペラハウスにいったが、ここは目が見えない俺にはちょっとわかりにくかった。でも、記念にはもってこいだと思い、手引きをしてくれた女の子と写真を撮った。
 それからクルーザーでシドニー湾を回りながら、その中でお昼を食べた。でも、こんな船に乗るのは初めてだったので、すっかり船酔いしてしまっった。ツアーコンダクターの先生が、船の中で流れている英語のアナウンスを、日本語で通訳しながら、この国のことについて、詳しい説明をしてくれた。でも、正直言って気持ちが悪くて内容は覚えていなかった。
 さて、いよいよオーストラリアで過ごすのも最後の最後になった午後は、近くの免税店に買い物に行った。しかし、金のあまりない俺たち学生(俺とあいつの二人)は、また庶民的な場所に行きたくなり、ツアーコンダクターの先生をちゃっかりと捕まえて、近くのフリーマーケットに行った。
 そこで気がついたんだけど、シドニー市内はかなり込んでいるにも関わらず、ほとんど人にぶつかると言ったことがなかった。そこで先生にこのことを質問してみると、シドニーでは白杖をもっている人を見かけると、自然とよけて通ってくれると言う習慣が、日本よりもしっかりと身に付いているということだった。  驚いたのはそれだけではない。シドニー市内の道路やその道路沿いに軒を連ねているほとんどの店の入り口には、日本では恒例の段差がほとんどない!!これも驚いた。そして、日本のように道路に点字ブロックはないものの、俺たちが歩いていてじゃまになるようなところには、決してものがおいてあったりはしなかった。だから、点字ブロックがなくても、安心して歩くことができるというわけだ。
 さて、フリーマーケットに着くと、これまでにもましてここは込み合っていた。しかも、このフリーマーケットの中には、おもしろいものばかりが売っていた。オーストラリアのコインを埋め込んだ手作りのキーフォルダー、カモノハシの形をしたたわし、手作りのとてもかわいいアクセサリーなど、免税店などではなかなかみることのできない珍しいものが売っていた。
しかも、ここは観光客ではなく、この国の一般の人々がたむろする場所なので、生活用品や食料品などが、日本とは比べものにならない程安い値段で売られていた。
 そんなわけで、俺たち二人は、他の人とは全く違った楽しい買い物をすることができた。

 さて、空港の近くの中華料理店で夕御飯を食べて空港に着くと、みんなで最後の集合写真を撮った後、残りのコインを使ってしまおうと言うことで、残り時間買い物をすることになった。俺はあまりコインをもっていなかったので、近くのチョコレートや3で、細かい猪口をたくさん買って飛行機の中で食べようと思って、店員さんに残りのコインを渡して、その辺の細かいものを詰め込んでもらった。すると、俺の予想していた量の3倍以上のチョコレートを買うことができた。

 そして、「カンタスオーストラリア航空21便」で多くの思い出と感動の体験をさせてくれた南国オーストラリアを後にしたのだった。


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