オーストラリア旅行体験レポート(3)


 目覚ましの音で目を覚ますと、やっぱりかなり眠かった。そしていつものように身支度を整えて下に降りると、ホストママが早速
「Can you sleep well?」と聞いてきたので、
「No, I can not. I want to sleep on the Huton.」と答えた。すると
「そうよね。日本人は布団が好きなんだものね」と言われた。俺はそんなことを言ってるより腹が減った。
「今日の朝ご飯何?」と聞くとホストママはうれしそうに
「美味しいご飯を作ったわ」と言うではないか・・・。
「あんなまずい物食いたくないぞ!勘弁してくれ!」と思っているとどうやらこちらの顔を見て察したらしく
「Mickeyのママに美味しいご飯の炊き方を教わったの」といわれた。そんなことを言ったって怪しい!でもともかく食ってみるかと思っていると、なんだか昨日と同じような器にご飯が出てきた。そして怪しいと思いながら食ってみると、やっぱりまずいと言いたかったけど「かなりうまい!」という感じだった。正直なことを言うと、オーストラリアに来てから食べた物の中で一番うまかった。そしてホストママに
「It is very good rice.」と言ったら、なんだか飛び跳ねる様に喜んでいた。
「昨日俺がかなりけなしたせいかなあ」と思ったけどやっぱりまずい物はまずいと言って良かったなあ。その美味しいご飯にベーコンを乗せたらもっと美味しかった。やっぱりここはオーストラリア、ベーコンは日本よりも美味しいし、なんだか面白い話しだけどご飯がかなりうまい。
 飯を食った後、昨日と同じように8時20分ぐらいに家を出て、マジールイングリッシュカレッチに行った。この日は午前中が動物牧場で英語教室、午後は盲学校に行く予定になっていたんだけど、なんだか予定が変更になったらしく、午後は「フレングラスガーデン」という、いろいろな匂いのする草花のある植物園に行った。
 午前中の動物牧場へはバスで約20分かかった、俺はてっきり、英語教室って言ってたから、牧場でシートでも敷いて英語の勉強でもやるのかなあと思っていた。バスを降りてちょっと長めで急な坂を登ると
「さあここでティータイム」と言う。
「なんとこの民族はティータイムが好きなんだろう」と思いながら席を探しているとあまり聞きたくない声が聞こえてきた。

「友、俺の隣へこいや」わざわざ呼ばなくてもいいのに…行きたくないんだけどなあ…どうしようかなあ…しょうがないから行くか・・・。そんなわけでT先生の隣へ座ることになってしまった。しかも困ったことに、そこにはコンピュータープログラマーのTさんがいるではないか。そう、このままいくと煙草を吸い始める!これはピンチだ!どうしよう・・・。ああやっぱり思ったとおりだ。何とかしてくれ…俺は煙草は嫌いだ…しんじゃうーーーーーーー!そうだ、ここはオーストラリアだ、ようしこうなったらなんとか言ってやる
「I do not like smoking. Please do not smoking」ああまいった、でも、英語で言うと日本語より言いやすいんだなあ。しかも高価は抜群!
「煙草が嫌いなら向こうへ行け!」と言われたけど、そのあとは煙草を吸うのをやめた。
 ティータイムではイギリス生まれのお菓子「スコーン」を食べた。スコーンはちょっと固いパンの上に生クリームを乗せて食べるお菓子だ。味はというと正直言って小麦粉臭い。でもさすがに生クリームは美味しい。
スコーンを食べながら、俺の前にやつのお母さんがいたので、やつに付いて在ること無いこと話していたら、やつは耳をダンボにして聞いていたらしい。そのうちやつも堪えられなくなったらしく
「お母さん、何変なことばっかりトムにいってんの!」と怒り出した。もちろんそこでお母さんも黙っているはずは無い、
「本当のことトム君に教えてあげてるだけじゃない」とあっさり返した。
 ティータイムの後、ミニホースを触りながらいろいろな説明を聞いていたんだけど、説明してくれた人が田舎のお婆ちゃんで英語が訛っていて聞きずらい。それでなくても英語ができない俺は、ツアーコンダクターの先生の通訳を聞いていた。それによると英語では牡の子馬・牝の子馬・牡馬・牝馬はすべて違う言葉があるらしい。全部名前を聞いたんだけど、頭の悪い俺がそんなことを覚えているはずは無い。
 ツアーコンダクターの先生によると、医学的な言葉は日本語より英語のほうがかなり多い。と言うよりも日本語には医学的な言葉や動物学的な言葉はあまり無い。しかし、日本語は他のどの外国語よりも魚の名前に関する言葉は多いらしい。現実に外国人に魚を見せて
「これはなんと言う魚ですか?」と聞くと
「I do not know」と殆どの人が言うとのことだった。
 そんな説明を聞きながら、後ろのほうに手を伸ばして馬を触ろうとして探していると、それらしいさらりとした毛の塊に触れた。
「ああかわいい馬だなあ(なでなで、なでなで)」と思ったけど何かが違う…何が違うんだろう・・・。そこで隣にいた全盲の人に
「これ馬ですか?」と聞いたらその人も
「どれどれ」と言いながら触ろうとするとその毛の塊が
「Oh No Tom. It is my head. Not Uma.」と言うではないか。やっと俺は気が着いた。
まずい!これは英語の先生の頭だ!
「I am sorry. I made a mistake.」と慌てて言った。もちろんその場は大爆笑、恥ずかしい・・・。
 それにしても馬という動物は良く食べる。現地のガイドも言っていたけど、人間は腹いっぱいになれば食うのをやめるけど、馬は起きてから寝るまでずっと食い続ける。事実俺達が来てからずっとそこらに転がっているにんじんを食い続けていた。
 動物牧場の後は、学校に戻ってランチを食べた後、いろんな香りのする草花のたくさんある植物園に行った。
 そこには、いろいろなフルーツの匂いや近づいただけで鼻がおかしくなるほど臭い植物があった。そこの売店でユーカリの油を買った。オーストラリアに来て初めての買い物だ。でもそんなことをしていると、あまりのにおいのきつさに鼻が曲がりそうになるので、さっさとそこを出て近くのベンチに座っていた。
 その後、時間があったので近くのテリガルビーチへ行った。殆どの人はそこでズボンを捲くって海に入ったけど、海の嫌いな人(やつと俺の二人だけ)はツアーコンダクターの先生と砂浜を散歩した。そのとき俺は正直言って英語の先生にばかり手引きをされていたので英語を喋りつかれてしまった。そんなわけで3人でいろいろと喋りながら砂浜を散歩した。
 ツアーコンダクターの先生はJTBのツアーコンダクター一期生で、もう300回以上も海外旅行に行っているというかなりベテランの人だった。そしてその先生も弱視だった。せんせいは、

「網膜色素変性症って言われたときは怖かったんや。でも本当に目が見えなくなってきてもっと怖かった。それでなにかしなきゃいけへんとおもってツアコンやめて英語の先生始めたんや。そのころ一人で白杖もって町の中行って目っつぶったらえらい怖かったんよ。それで先生決めたんや。できる間に同じ用な眼の見えない人をいろんなとこへ連れてってやロウって」

その言葉に俺は感動した、そして先生に心の中で何度も
「有難うございます」と言っていた。
 それからビーチの近くの喫茶店でアイスコーヒーを飲んだんだけど、これがまたオーストラリアらしい。オーストラリアのアイスコーヒーはコーヒーの上にアイスクリームが乗ってその上に生クリームが山盛りになっている。言ってみればコーヒーの上に小さなパフェが乗っているような物だ。それが普通のアイスコーヒーだと言うのだからいかにこの土地の人々が甘い物がすきかが分かる。しかもコーヒー自体もミルクたっぷりでかなり甘い。値段はそんなに高くない。日本のコーヒーフローとが大隊300円なのに対して、このオーストラリアのアイスコーヒーは240円だ。さすがに物価は安い。コーヒーを飲みながらあいつと一緒に、添乗員のIさんを
「○○トラベルに苦情の電話しようかなあ」とか言って馬鹿にしていた。でも正直なことを言うとこの人もかなりやさしかった。
 ところで、この喫茶店のテーブルは、テーブルの骨組の上に板をただ載せただけでか
なり危ない。片方を押すと板がひっくり返りそうになる。うっかりと「ああ、疲れた疲れた・・・」とひじなんかを着いたら、コーヒーがこぼれて大変なことになる。
 テリガルビーチを出て学校に戻ると、ホストママが迎えに来てくれたので車に乗ろうとすると、なんだかYさんと言う人と一緒に行くと言う。俺はその人とあまり話したことが無かったのでよくわかんなかったから
「一所に来てる人ですか?」と聞いてしまった。するとその人の方は、俺が余りにもうるさいので、ちゃんと俺のことを知っていて、
「トム、なに言ってるの、ずっと一所にいたじゃない」と言われてしまった。その人は30代後半で、網膜色素変性症で英会話スクールへ通っていると言う。そして、なんと今日から内に一所にホームステイすると言うのだ。
「ベットルームはどこなんだろう、俺の知っている限りではあのうちは部屋が開いていなかったはずですよ。」と言ったら
「良くわかんないけど、添乗員のIさんがそう言ってたよ」
「じゃあ聞いてみましょうか?」
「うん、聞いてみてよ」
「Mam, Where is her bed room?」
「彼女のベットルームは家には無いわ、彼女のホストファミリーは忙しいからちょっと家にいてもらうだけよ。ディナーの後送っていくことになってるの」
ということで、なんだか分からないまま家に着いた。
 家に戻ってほっとコーヒーを飲みながらNHK News \を見た。やっぱり日本語を聞くと落ち着く。テレビを見ながらくつろいでいると、いきなりホストパパが
「後30分ぐらいしたらレストランにディナーに行くから」と言い始めた。
「何を食べさせてくれるんだろう」と思っているとYさんが
「お金どうしよう」と言った。
「なんとかなるでしょう。まあ、いざとなったら俺が立て替えときますから。」と言ったんだけど俺も心配になってきてベットルームに財布をとりに行った。
 そんなこんなでレストランへ出かけることになった。レストランに着くと、そこはなんだか大きなホテルで、フロントで受付をしていた。会場に着くとYさんが
「ここパーティークラブだよ」と言い出したのでなんだか分からないまま入って行くと、誰かの隣に座らされた。誰なんだろうと思っているとホストママが
「トム、隣にMickeyがいるよ」と言うから二人して驚いた。そしていつものように日本語トークを始めた。笑いながら話していると、両方のホストファミリーに
「なに言ってるの?通訳してよ!」と言われた。でもひたすら日本語で話し始めると相手は妙に笑い出した。そんなことをしていると、Yさんに
「英語で話しなよ、なんだかホストファミリーがつまらなそうだよ」と言われたけどあいつと
「やっぱり日本人は日本語だよねえ」と言いながらひたすら日本語トークをしていた。(後でホストママに「あの時英語で話せば良かったのに」と言われてしまった)。
その日のディナーに、俺はフライドポテトとハンバーガーを食った。
 ところで、この国のパーティーという物は、始まりの挨拶らしき物は全くないし、ほとんどの場合、終わりの挨拶もない。誰もが自分の都合に合わせて集まり、そして自由に帰っていくのだ。
 そんなことをしていると、なんだか真面目な話しが始まったらしく周りが静かになった。
 そのパーティーは眼の見えない人とホストファミリーとのパーティーだった。そこで俺達はホームステイの感想を話した。ホストファミリーはそれぞれの家族に目の見えない人を受け入れての感想を話した。
 パーティーの後、家に帰ってシャワーを浴びて寝たのは10時ごろだった。その日はさすがに良く寝られたと思う。
 ちなみにこの日、よるの10時頃にこの家に電話がかかってきた。そのとき、家族全員が
「What's Happen!!」と驚いていた。俺もこれには驚いてしまった。なぜ電話ぐらいでこんなに驚くんだろうとおもっって聞いてみると、オーストラリアでは9時過ぎの電話は緊急らしい、それに夜は、日本とは違って9時過ぎるとあたりはかなり静まり返る。
これにはびっくりさせられてしまった。


オーストラリア旅行体験レポート(1)

オーストラリア旅行体験レポート(2)

オーストラリア旅行体験レポート(3)

オーストラリア旅行体験レポート(4)

オーストラリア旅行体験レポート(5)

オーストラリア旅行体験レポート(6)

オーストラリア旅行体験レポート(7)

オーストラリア旅行体験レポート(8)

オーストラリア旅行体験レポートの目次へ戻る

エッセーコーナーに戻る

トップページに戻る